セミナー

去る1月18日(水)〜19日(木)、パシフィコ横浜にて「統合医療展2006」が開催され、医療実践セミナーにて、理事長の松崎茂が講演いたしました。

「ヨーロッパ型のがん統合医療とは」

日本腫瘍学会 理事長 松崎茂

近年生活環境の著しい変化と高齢化に伴い、がん患者の増加が著明となって来た。がんの診断法は日進月歩の発達を遂げており、治療面では分子標的医療も発展しつつあるが、外科的手術、化学療法および放射線療法の三大療法が主流であり、その他の代替医療はほとんど無視され、多くの患者は、民間療法に頼らざるをえないのが現状である。

日本ではがん専門医の絶対数が不足していることから、有名な専門医は「3時間3分」と言われる診療を余儀なくされている。がん専門医に見放されてしまうがん患者も少なくない。医師から見放されてさまよっている「がん難民」と呼ばれる人々は3万人にも及ぶと推定されている。他方、欧米先進国においては、心理療法や代替医療も広く採用されるようになって来た。特に、ドイツ・オーストリアでは、「腫瘍学会」が中心となり、三大療法だけでなく種々の代替医療を用いてがん治療に好成績をあげている。

オーストリア、ドイツ腫瘍学会では100時間をかけて家庭医に対する教育プログラムを施行し、統合医療の専門医を養成している。50時間は従来のがん治療について、残り半分は統合医療について学ぶものである。がん患者の延命をはかるだけでなく、そのQOLを高めることを重要視し、以下の項目を取り扱う。

  1. がん予防
  2. 腫瘍の除去
  3. 再発と転移の予防
  4. がんの緩和ケア

まず、がんの原因を除かない限り、治療の成功は望めないと言う考え方である。次いで、腫瘍そのものの治療を行い、再発および転移の予防をはかり、最終的には緩和ケアを行う。がん患者が緩和ケアに移行しないようにすることが、目標である。適切な時期に適切な診断と治療を行うことにより、がん患者の延命をはかることが可能である。

がん統合代替医療の概要

  1. 解毒プロトコール
  2. 抗ウィルス、抗細菌、抗真菌プロトコール
  3. 抗酸化プロトコール
  4. 補充療法プロトコール
  5. 免疫療法プロトコール
  6. ホルモン療法プロトコール
  7. 栄養療法プロトコール
  8. 生体プロトコール
  9. 物理療法プロトコール
  10. 心理療法

これらの方法により個々の症例に見合った治療方針を選択し、再発と転移の予防、そして延命もQOLの向上も可能となる。
統合医療に精通した一人の医師が、がん患者の診断と治療に一貫して関ることが大切である。それにより、家庭医として患者を専門病院に送る際にも、連絡を密にして従来の治療法に上記の治療を加え、副作用の軽減、再発や転移の予防をはかることができる。

ドイツでは1950年代、オーストリアでも1987年に代替医療学会が設立され、国のレベルで統合医療に門戸を開くようになって来た。治療法は、まず癌の生存しにくい体内環境を作り、上記のようにがんに対する免疫を高め、がんの発育、浸潤、転移を妨げる栄養補充療法、抗酸化剤、ビタミン、微量元素、タンパク質分解酵素、胸腺、肝臓および脾臓ペプチド、オメガ3脂肪酸、ヤドリギ抽出物の注射なども行われるようになって来た。

統合医療先進国の経験を見習い、日本人に合った統合医療を進めることの重要性をこの機会に強調したい。